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 1979年の作品。この頃、小説の短編のようなマンガを描きたいなと模索していました。そういうニーズはまんがの読者にはまったくなかった時期なので、ぼくの勝手な思い入れで書いた作品です。まだ、学生時代に書いたもの。大学の同級生でイラストを書いている人がいて、ぼくのこの作品を見て「レイアウトがすごいから、そういう世界に進んだら?」といわれました。自分ではレイアウト云々はよくわからなかったので生返事をしていましたが・・・

 作品自体の完成度はわりと高くて、自分でも気に入っている作品の一つです。

 珍しく、短編なのに登場人物に名前がありますね。

 バイキングのいろいろな伝承を聞いていて、何か違うんじゃないかなあと思って、描いた作品ですね。

最後のコマは、今と違いデジタル作画が出来ない時代でしたので、真っ黒に塗りつぶしたコマに、ホワイトを付けたペンで線画を描きました。鉛筆でかんたんな当たりは取りましたが、真っ黒なコマなのでそれもよく見えず、ほとんどぶっつけ本番で完成させました。そのわりには、なんとかなったんじゃないかな・・・と、自画自賛しておきます。

「紙の船よ飛べ」の後半14pです。後半は、わりとお気に入り。リメイクしても、後半はあまり手を加えないと思います。

「紙の船よ飛べ」後半おしまい。昭和な話、でしたね。

1980年に描いたのを、82年に背景などを修正して発表したもの。32p。前半と後半に分けて載せます。子供の頃よく遊んだ杜(もり)を舞台にした、どたばたと走り回る物語が描きたいなと思い、描いた作品。ちょっとウェットな部分があるのは「若さ故の・・・」かも。どたばたに徹した方がよかったかな。でも、個人的に好きな作品です。前半18p。切りのいいところで。



「紙の船よ飛べ」前半終わり。後半へ続く。

ひさしぶりの投稿です。前に投稿した作品と同じですが、前のは全部フォトショップで作りましたが、今回、コミックスタジオを使ってデジタル処理しなおしましたので、再掲します。(註:古い物は削除しました)

1981年度作品。20pの短編です。例によって、登場人物に名前はありません。唯一名前があるのはグロイゼルだけ。今回はオマケの話を少々追加。

仲間内で喫茶店で話していたとき、たまたま地元の同人会のイベントか何かがあった日で、見知らぬ青年に突然「スコーピオンって同人誌をやってる○○といいます。おしなさん、うちの同人誌にぜひ一作描いていただけませんか」と話しかけられ、その同人誌も見せていただきました。たまたまいっしょにいた知人がその人を知っていて、信頼できる人だと。ぼくもわりと簡単な性格をしているのでつい「長いのでなければいいですよ」と答えてしまいました。「じゃ、20pくらいで、内容はおまかせしますが、できたらおしなさんらしいかっこいいやつを。寄稿ということでよろしいですね」かっこいいやつをといわれてもどうしたらいいか困るんですが。聞いてみたら、締め切りまで二三週間しかなかったので、軽い冒険譚にしました。前から「悪いやつ」が主人公の話を書いてみたかったので、いい機会だと思ったんですね。

その人から原稿のサイズを聞いたら、かなり小さいサイズで、縦横比も普通とちょっと違っていました。急いでそのサイズの原稿用紙をつくり、コンテ(ネーム)なしで、いきなり原稿用紙に書き始め、完成したのは10日後くらいでした。今見ると粗っぽい描き方ですが、わりと愛着のある作品です。たぶん、原稿が手もとに残っていないせいですね。

寄稿した原稿の「寄稿」という意味を、依頼者と執筆者がきちんと同意しないまま引き受けてしまったのが失敗。依頼者は「寄稿」された原稿は返却する必要がないと考えたようで、返却されませんでした。印刷された同人誌が送られてきたので、今回の作品の原稿はその小さな同人誌をスキャンして起こしました。そういえば、他にもいくつか頼まれて寄稿しましたが、ほとんど原稿が帰ってこなかったですね。もうぼくの記憶の中にしかない作品もあります。

「グロイゼルの餌」は、小松左京の「牙の時代」という中編のSF小説に「インスパイア」されて描いたものですが、すみません、ぼくが描くと、似ても似つかないものになってしまいました。SF好きな友人もいたのですが、まったく気がつかなかったといわれました。・・・まあ、ぼくだけがこっそり、そう思うことにします。

いま、ようやく思い出しましたが、『牙の時代』の主人公はモトクロスに乗っています。似ているのはそれだけでしたね。なお、主人公が乗っているバイクは、現実には存在しません。アメリカのロードバイクを参考にして、自分で勝手に設計しました。排気管が2本もあるバイクなんてありませんが、2本合ったらモンスターバイクっぽいなと、単純な印象で採用しました。また、前輪が異様に斜めに飛び出していますが、ロードバイクならまだしも、荒野をつきすすむバイクには不向きです。それはわかっていたものの、やっぱり見た目のかっこよさでこの形にしました。まあ、いいかげんですね。


四郎2からの続き。完結編(18p)です。

四郎3ここまで。四郎、全編完結です。最終ページの記録を見ると、最初のとりかかりから完成まで、三か月弱かかってますね。

四郎1の続き。14p分です。でうす、ぜんちょ、はらいそ、などの言葉は、「沈黙」にも登場しています。まるちりは、そのまま「殉教」。オランダ船がきりしたん反乱軍を砲撃したのは史実で、反乱軍は混乱したといわれています。背景には、ポルトガルとオランダの覇権争い、日本のキリシタンの信仰が本来のキリスト教とずれていっていたことなどがあります。

四郎2はここまで。四郎3(完結編)につづく。

1978年作品。47ページ。3分割してお送りします。有名な島原の乱を、反乱軍の旗印を描いた絵師山田右衛門佐からの視点で描いたもの。この視点で島原の乱を描いた作品は、当時他になかったんじゃないかな。(今もそうかもしれませんが、あまり時代小説を読まないのでわかりません)歴史的な背景をかなり調べました。結局、史実たくさん+独創(ファンタジー)ちょっぴりで作りました。山田右衛門佐を主人公に選んだのは正解だったと思っています。物語の起伏より、宗教・信仰とは何かというテーマで、精神性を優先して物語構成しました。あまり例のない時代マンガになったと思います。最近、スコセッシの「沈黙」(遠藤周作原作)を観てきたんですが、ちょうど島原の乱の後の出来事になるんですね。観終わって家人と映画のことを熱く語り合っていたら、家人から「四郎」をこのサイトにぜひ載せたらと勧められました。乗せられて取り組んでみたら、思いがけず、熱い数日間を過ごすことができました。なお、ウェブ掲載に当たって、セリフを活字にするさいに、スペースの関係でセリフを一部変更したところがありますが、それを除けばほぼ初出のままです。「沈黙」はキリスト教信者から観た神と信仰の物語ですが、「四郎」はキリスト教の外側から観た島原の乱を描いています。(登場人物は内側にいるきりしたんばかりですが、作者が外側にいるので、どうしてもそうなりますね)

四郎1(15p)ここまで。四郎2につづく。

 1980年作品。16p。太陽が赤色に膨らんでいずれ地球を呑み込もうという未来を舞台にした短編です。あまり綿密に作品の構成やテーマを考えることもなく、空に浮かんでいる巨大な赤い太陽というイマジネーションだけで描きました。仲間と作った「かるま・どぅう゛ぃ」という同人誌に掲載しましたが、原稿は当時の編集人から返してもらってなくて、紛失してしまいました。今回の原稿は冊子をスキャンして作り、画面の歪みや印刷のムラなどを修正し、フキダシを活字にしたくらいで、あとは当時のままです。主人公の服は当時原案を進めていたクロノシューター(原題アウトサイダー)の服に似ていますが、これはクロノシューターを描くときの練習をかねて服装をわざと似せたものです。内容はまったく別物ですが。この作品にでてくる女の子のデザインはわりとお気に入りなんですが、ここで使ったきりです。主役のデザインが中性的なので、もう少し対比をつけてもう少し逞しい感じのデザインにしてもよかったかな。例に洩れず、登場人物に名前がついていません。リヤカーが生きているのは、世界の終末の、救いのない物語なので、せめて物と人間との間に「共感」がある世界観にしたかったからです。「IFの世界」ですので、あまり深く考えずに楽しんでいただければと思います。

 太陽世代全編はここまで。最後のコマの「つづく」は、終末世界の向こうにちょっとの希望を見たくて入れました。当時は「共感」という題材を意識せずに使った作品だったのですが、男の子と女の子とモノ(ワゴン)の「共感」がいつのまにか裏テーマみたいになって、最後の1コマに集約されちゃったみたいです。意識しないことの方が、作品には色濃く残るんでしょうか。新作の執筆に生かせればいいなあ。

 ところで、この世界の男たちが持っている「トケイ」は今のGPSみたいなもので(当時はまだ実用化されていなかったので、空想の世界の産物です)、女性を見つけ出すのに特化した探索機です。

 また、スクリーントーンはデジタルソフトで貼ったものではなく、製品のトーンを手作業で原稿用紙にごしごしと貼りつけ、カッターの先でがしがしと削って絵を描きました。今は便利だなあ・・・

1978年作品。「ラオコーン」という彫刻を題材にして描かれた有名な同タイトルの芸術論を読んで、そうじゃないよなあ、と思って描いた作品です。でも、周囲の人は誰一人としてその芸術論の本を読んだことがないらしくて、本作がその芸術論に対するアンチテーゼだという事は気づかれませんでした(笑)。本作の意気込みは別として、「ジッポの道」と同じ世界観で異なる物語を描けたのは楽しかったですね。こういう、人間と非人間が混じる物語は大好きです。堅苦しいことは抜きにして、純粋に楽しめるオハナシとして作りましたので、お気軽にお楽しみください。

ラオコーン、ここまでです。最後のページは原稿がなぜだか紛失してしまい、同人誌「カルマえか」からスキャンして、デジタル原稿としました。

1976年作品。「てるてる戦争」(14p)です。ジャンルは・・・何になるんでしょうか。てるてるぼうずが停滞前線と戦争するというへんてこな話です。とんでもなく古い作品で、公開するのはやめようかと思っていたんですが・・・ふと見直したらけっこうおもしろかったので、掲載することにしました。フキダシを活字にしたり、汚れを取ったりという程度の修正はやってあります。絵が・・・粗いです(汗)。もともとこの頃の絵は基本的に粗かったのですが、この作品は自分はどのくらい早く作品を仕上げられるんだろうかということを試したもの(ほとんど意味のないチャレンジですが、若い頃はなんでもやってみたいものですな)。たしか14pを構想から仕上げまで二日ほどで完成したんじゃなかったかと思います。当然、絵は輪をかけて粗いです・・・若気の至りということで、御容赦を。例によって、登場人物に名前はありません。てるてるぼうずは「てるてる」くんで、これは名前になるのかなあ。まともな名前はハレテラー将軍だけ。今思うと、なぜこの将軍だけ名前をつけたのか、理解に苦しみます・・・まあ、そんなこんなをおいといて、気軽にお楽しみください。

「てるてる戦争」完。最終ページには「おしまい」のかわりになぜか「あした天気になあれ!」と書いてあります(笑)。この頃のこういう感覚や行動、自分でもよくわからないところがあります。まあ、おおらかだったのかな。

冒険まんが「GEOGRAPHIA」後編の最終回。これで「GEOGRAPHIA」全編が完結となります。もっとも、設定が設定だけに、この続編は描こうと思えばいくらでも描けます。シェーラの出生の秘密とか、キャプテンたちのめざす黄金郷ドラディアでの冒険とか、リーグの父との再会とか・・・でも、今後それを描くことは、たぶんないでしょうね・・・リーグやシェーラ、それにキャプテン・ジード、フェイ、ガッシュなど、思い入れの強いキャラが多い作品です。

「GEOGRAPHIA」後編はこれで完結。リーグの次の冒険は・・・ご自由にご想像ください。リュックサックを尋ねた街の紋章でいっぱいにして、生まれ故郷へ帰る日があると信じます。

冒険まんが「GEOGRAPHIA」後編1よりの続きです。主役のリーグ、唯一の活劇シーンがあります。後編は、ページ数にしたら2〜3Pですが、内容的にはかなり大きな変更、追加をしました。といっても、旧版を見た人はほとんどいないので、変更点がどこか、わからないでしょうけど(笑)。リーグが遠くの地点の位置を確認している円形の装置はアストラーベ。地上用の軽くデザインされたものと、船舶用の横風に煽られないように重くデザインされたものがありますが、リーグが使っているものが風抜き穴のある船舶用になります。

「GEOGRAPHIA」後編2ここまで。後編3(最終回)につづく。