1980年作品。16p。太陽が赤色に膨らんでいずれ地球を呑み込もうという未来を舞台にした短編です。あまり綿密に作品の構成やテーマを考えることもなく、空に浮かんでいる巨大な赤い太陽というイマジネーションだけで描きました。仲間と作った「かるま・どぅう゛ぃ」という同人誌に掲載しましたが、原稿は当時の編集人から返してもらってなくて、紛失してしまいました。今回の原稿は冊子をスキャンして作り、画面の歪みや印刷のムラなどを修正し、フキダシを活字にしたくらいで、あとは当時のままです。主人公の服は当時原案を進めていたクロノシューター(原題アウトサイダー)の服に似ていますが、これはクロノシューターを描くときの練習をかねて服装をわざと似せたものです。内容はまったく別物ですが。この作品にでてくる女の子のデザインはわりとお気に入りなんですが、ここで使ったきりです。主役のデザインが中性的なので、もう少し対比をつけてもう少し逞しい感じのデザインにしてもよかったかな。例に洩れず、登場人物に名前がついていません。リヤカーが生きているのは、世界の終末の、救いのない物語なので、せめて物と人間との間に「共感」がある世界観にしたかったからです。「IFの世界」ですので、あまり深く考えずに楽しんでいただければと思います。
太陽世代全編はここまで。最後のコマの「つづく」は、終末世界の向こうにちょっとの希望を見たくて入れました。当時は「共感」という題材を意識せずに使った作品だったのですが、男の子と女の子とモノ(ワゴン)の「共感」がいつのまにか裏テーマみたいになって、最後の1コマに集約されちゃったみたいです。意識しないことの方が、作品には色濃く残るんでしょうか。新作の執筆に生かせればいいなあ。
ところで、この世界の男たちが持っている「トケイ」は今のGPSみたいなもので(当時はまだ実用化されていなかったので、空想の世界の産物です)、女性を見つけ出すのに特化した探索機です。
また、スクリーントーンはデジタルソフトで貼ったものではなく、製品のトーンを手作業で原稿用紙にごしごしと貼りつけ、カッターの先でがしがしと削って絵を描きました。今は便利だなあ・・・
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